研究成果

A novel “dip-in electrode” method for electrode application to record noninvasive scalp electroencephalograms and evoked potentials in an awake common marmoset

A novel “dip-in electrode” method for electrode application to record noninvasive scalp electroencephalograms and evoked potentials in an awake common marmoset

22/6/28

Kosuke Itoh*, Naho Konoike, Haruhiko Iwaoki, Hironaka Igarashi, Katsuki Nakamura, NeuroImage. A novel “dip-in electrode” method for electrode application to record noninvasive scalp electroencephalograms and evoked potentials in an awake common marmoset. Neuroimage: Reports Volume 2, Issue 3, September 2022, 100116

【研究の概要】
頭皮上から記録する脳波は、脳内の電気活動を無侵襲で観察できる唯一の手段であり、ヒトはもちろん、サルなどにおいても利点の多い脳機能計測法です。ただ、神経科学において小型霊長類のコモンマーセットは頭部が小さく、従来の方法での脳波記録は仮に1、2チャンネルであっても困難で、これまでひとつも成功例はありませんでした。

この問題を解決するため、新潟大学脳研究所の伊藤浩介・准教授および京都大学ヒト行動進化研究センターの中村克樹・教授らのグループは、従来の発想にとらわれない新しい電極設置法を考案し、マーモセットの無侵襲脳波記録に世界で初めて成功しました。

【本研究成果のポイント】
 この新しい方法では、電極間距離が6mmという高密度での脳波記録が可能です。これにより、直径数センチほどのマーモセットの頭部で32チャンネルの脳波記録が可能なことを実証しました。
なお、この方法は、マーモセットだけでなく、大小問わず他の動物にも適用可能です。例えば我々は、マカクザルでもこの方法での脳波記録に成功しています。この研究により、さまざまな動物における、無侵襲脳波記録の可能性が広がりました。

【今後の展開】
 この脳波記録法を利用すると、ヒトとサルのように種が違っても、全く同じ指標で脳機能を比較評価することができます。これは、大きく2種類の研究に役立ちます。
一つは、(例えば統合失調症などの)精神神経疾患の脳メカニズムを調べ、治療法を開発する研究です。こうした疾患でどのような脳波異常が見られるかは、ヒトでよく調べられています。これと同じ異常をサルなどの実験動物で観察することで、疾患の機序を調べたり、新しい治療法の効果を確認したりできます。
もう一つは、脳の進化を調べる基礎研究です。ヒトとサルで、例えば音を聴いたときの脳波がどのように違うのか調べることで、言語や音楽のような複雑な脳機能をヒトがどのように獲得したのか、脳の進化の謎に迫ることが期待できます。

【用語解説】
脳波記録のチャンネル数とは、脳波を記録する電極の数のことです。つまり、32チャンネルの脳波計測では、頭皮上の32カ所から同時に脳活動を記録できます。

Kosuke Itoh*, Naho Konoike, Haruhiko Iwaoki, Hironaka Igarashi, Katsuki Nakamura, NeuroImage. A novel “dip-in electrode” method for electrode application to record noninvasive scalp electroencephalograms and evoked potentials in an awake common marmoset. Neuroimage: Reports Volume 2, Issue 3, September 2022, 100116