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研究成果

全遺伝子解析によるスラウェシ島マカク類の遺伝的比較

Exome analysis reveals species divergence in TYR and identifies species genetic markers in five endemic Macaca species on Sulawesi Island

25/7/7

インドネシアスラウェシ島で独自の毛色の進化を遂げたマカク類(a: 今回の論文で解析)とクロザル (b:  Macaca nigra) (論文より引用)

背景
インドネシアのスラウェシ島には、共通の祖先から急速に分岐した7種のマカク属のサル類(スラウェシマカク)が生息しており、種分化を研究する上で特異なシステムを形成しています。これらの種は形態や毛色において顕著な差異を示しますが、遺伝的変異がこれらの種間形質の差異にどの程度寄与しているかや、地理的に近接しているのにもかかわらずこのような差異がどのように維持されているのかはこれまで不明でした。

研究成果
当センターのYan Xiaochan 研究員(研究当時。現・日本大学)と今井 啓雄 教授、総合研究大学院大学の寺井 洋平 准教授らの研究グループは、スラウェシマカクのうち5種46個体の全エクソームシーケンシング(WES)を実施し、約550個の種間差異が大きい遺伝子を同定しました。遺伝子オントロジー(GO)解析により、これらの変異が細胞接着、色素沈着、シグナル伝達、ストレス応答といった現象に関与していることが明らかになりました。特に、TYRやLRIT3といった色素関連遺伝子にはアミノ酸置換を伴う変異(例:TYR D132N、LRIT3 S394P, Y363D)が認められ、これはクロザル(Macaca nigra)等の、特徴的な毛色と関連していると考えられます。

本成果は、2025年7月3日に国際学術誌「BMC Ecology and Evolution」に掲載されました。
 

BMC Ecology and Evolution

京都大学ヒト行動進化研究センター

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